もうひとつのJARL改革案(2015年12月28日改訂)
以前から、一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)改革の議論の際に
私が引き合いに出しているのが、公益財団法人日本野鳥の会である。この団
体は財団法人であるが、ご存じのように個人会員の制度も存在している。こ
の個人会員の制度が以下のように工夫されており、JARLの将来像について参
考になると思うのだが、いかがだろう。
すなわち、個人会員にも地域密着型、総合型、特別会員など複数種があり、
それぞれの年会費も異なる。まず本部への上納金となる年会費が、1000円、
5000円、10000円の3種類あるのだが、各地域の支部活動にも参加したい場
合は、この他に支部費(地域ごとに異なっており、2500円とか3000円のとこ
ろが多いようだ。)を支払う。支部に参加せず本部のみだと5000円、支部活
動を中心とするなら、本部会費を1000円で済ませ、とたえば大阪支部であれ
ば2500円の支部会費となるので総額は3500円、という仕組みである。もちろ
ん、本部活動と支部活動の両方にコミットしたい方のための会員種別も存在
する(本部会費5000円+支部会費)。
http://www.wbsj.org/join/join-and-changes/personal/kaihi/
現在のJARL内紛の根にあるものは、原元会長とその取り巻きによる利権問題
なのかもしれないが、私達下々の者にとってそうしたことは残念ながら見え
にくく、それ以上に東京と東京以外におけるアマチュア無線連盟に対して期
待するものの違い、という側面が、常に違和感として存在する。
東京以外の地方では、支部活動に熱心な地域も少なくなく、各地域毎のハム
フェアなどにも成功している例は多い。しかし、東京では東京支部の活動に
大きな軸足を持っていたり、そうした活動に大きな期待をする人達よりも、
どちらかといえば監督官庁である総務省との各種規制緩和に対する折衝事項、
海外のアマチュア無線連盟との交流や連携、などといった、より全体的な活
動への関心の方が大きいように感じている。
これらの間の差異は、相互の違和感を超えて、中傷誹謗合戦にまで発展して
おり、実に嘆かわしい状態になっているのが現在の日本のアマチュア無線界
である。
であれば、斜陽産業となったアマチュア無線界に、社団法人日本アマチュア
無線連盟(JARL)と財団法人日本アマチュア無線振興協会(JARD)と2つも
法人格が存在する異常事態の是正を図り、2つの法人を統合した新生財団法
人日本アマチュア無線連盟(JARL)を設立し、上述の日本野鳥の会の個人会
員制度を参考に、本部活動によりコミットしたいと考える会員と支部活動に
よりコミットしたいと考える会員が、お互いにいがみ合うことのない仕組み
にしてはいかがだろう。
現在の財団法人日本アマチュア無線振興協会(JARD)は、アマチュア無線技
士従事者資格(3級と4級)の養成課程講習会に加えて、アマチュア無線機
器の技適審査という収入源も持ち、この技適審査については事実上の独占状
態であり、安定収入となっている。さらに第2級アマチュア無線技士の無線
従事者資格も養成課程講習会制度の範囲となり、これの実施母体として、さ
らなる収入源の拡大が図られた。
一方の一般社団法人JARLは、会員からの会費だけが主な収入源であるため、
アマチュア無線の縮退と共に、収入の拡大には会費値上げ以外の手法は、事
実上見当たらない。
JARDとJARLが統合され、新生JARLが財団法人として誕生すれば、上記の
ように財政基盤がそれなりにあることから、一般会員の会費を不当に値上げ
しなければならなくなることは、当面回避できる可能性が高い。会費がリー
ズナブルで、経営基盤となる収入源がそれなりに存在し、QSL転送さえきち
んとやってくれるようになれば、会員の多くは歓迎するのではないだろうか。
しかも、財団法人であるから、もはや理事選挙も社員選挙も、何もなくなる
わけで、変な中傷誹謗合戦や派閥争いもなくなり、意外と良いのではないか
と考える。現JARLの会員や社員、あるいは理事などといったメンバーの顔
ぶれを見る限り、「民主的な運営」と称するものが、かえって道を踏み外し
ており、したがって以上のように財団法人化することが望ましいと思うのだ。
JJ1WTL 本林さんが、さらに詳しく考察してくださった。
http://jj1wtl.at.webry.info/201601/article_7.html
櫻井 豊、JQ2GYU/JF1LZQ